上司のヒミツと私のウソ
翌日の夜、自宅で夕食をすませたあと、再び西森の資料に目を通した。
西森はああいったが、やはりファイルは返すべきだとおもっていた。
この資料を作っていたときの西森は、フレーバーティーシリーズが復活すると信じて疑わなかったに違いない。
その期待を裏切り自ら終止符を打った張本人が、いつ手がけられるかもわからない新規プロジェクトのために、後生大事に保管しておくというのもおかしな話だ。
雨がベランダの窓を叩く音が聞こえる。
朝から降り続けた雨は、夕方近くになって一旦やんだのだが、また降り出したらしい。
とつぜん携帯電話が鳴った。
「あすなろ」からだった。電話に出ると、ざわついた店の様子を背景に律子さんがめずらしく遠慮がちに告げる。
「木下さんが来てるの」
返事ができずにいると、予想していたように先を続ける。
俺が来るのを待っているという。
「大事な話があるんだって」
西森はああいったが、やはりファイルは返すべきだとおもっていた。
この資料を作っていたときの西森は、フレーバーティーシリーズが復活すると信じて疑わなかったに違いない。
その期待を裏切り自ら終止符を打った張本人が、いつ手がけられるかもわからない新規プロジェクトのために、後生大事に保管しておくというのもおかしな話だ。
雨がベランダの窓を叩く音が聞こえる。
朝から降り続けた雨は、夕方近くになって一旦やんだのだが、また降り出したらしい。
とつぜん携帯電話が鳴った。
「あすなろ」からだった。電話に出ると、ざわついた店の様子を背景に律子さんがめずらしく遠慮がちに告げる。
「木下さんが来てるの」
返事ができずにいると、予想していたように先を続ける。
俺が来るのを待っているという。
「大事な話があるんだって」