上司のヒミツと私のウソ



「なんとかいえ、コラ」


 明日から夏休みという、中学三年の一学期最後の登校日。

 学校から帰るなり、俺はハルに問い詰められた。


 恐ろしく不機嫌な顔で仁王立ちするハルをかわして、キッチンに向かう。冷蔵庫を開け、麦茶の入ったポットに直接口をつけてがぶ飲みした。


 今日も暑い。制服のシャツは汗でびっしょりだ。

 すぐさまハルが追いかけてきた。


「三者面談のこと、なんでいわなかったんだ。やってないのはうちだけだそうじゃないか。初耳だぞ、俺は」

「誰に聞いたんだ」

「さっき、担任の先生から電話があったんだよ。どうしても進路についての相談をしたいから、夏休み中に来てもらえないかって」

「ふーん。先生も暇なんだな」

「あのな、おまえが学校でなにをしようと俺はとやかくいうつもりはないが、大人には大人のはたすべき義務ってもんがあるんだ。少なくとも、親が子供の進路について意見する権利はあるとおもうがな」
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