上司のヒミツと私のウソ
集金袋が回ってきた。
人事部では、義理チョコは部内でまとめ買いすることになっている。バレンタインデーまでに費用を集め、新人の女の子たちが買い出しに行くのだ。
私は財布からお金を出して袋の中に入れ、そっと隣の席に回した。
「西森さん、またコピー機の調子が悪いみたいなんだけど」
昼休みまであと十五分というときに、佐藤部長がコピー機の前から私に救難信号を送ってきた。
もうかなり古くなっているコピー機は、しょっちゅう紙詰まりをおこしたり動かなくなったりするのだけれど、どういうわけか佐藤部長にその被害が集中する。
「いいですよ。あとで見ておきますから、書類を貸してください。午後の会議で使うレジュメですよね。何部必要なんですか」
「八部。いつも悪いね、助かるよ」
本当にすまなそうな顔をして、佐藤部長はしょぼしょぼと席にもどっていく。
なんとかコピー機に機嫌をなおしてもらい、急いで頼まれたコピーをとっている間に、十二時を報せるチャイムが鳴った。
人事部では、義理チョコは部内でまとめ買いすることになっている。バレンタインデーまでに費用を集め、新人の女の子たちが買い出しに行くのだ。
私は財布からお金を出して袋の中に入れ、そっと隣の席に回した。
「西森さん、またコピー機の調子が悪いみたいなんだけど」
昼休みまであと十五分というときに、佐藤部長がコピー機の前から私に救難信号を送ってきた。
もうかなり古くなっているコピー機は、しょっちゅう紙詰まりをおこしたり動かなくなったりするのだけれど、どういうわけか佐藤部長にその被害が集中する。
「いいですよ。あとで見ておきますから、書類を貸してください。午後の会議で使うレジュメですよね。何部必要なんですか」
「八部。いつも悪いね、助かるよ」
本当にすまなそうな顔をして、佐藤部長はしょぼしょぼと席にもどっていく。
なんとかコピー機に機嫌をなおしてもらい、急いで頼まれたコピーをとっている間に、十二時を報せるチャイムが鳴った。