上司のヒミツと私のウソ
昼間の陽射しは相変わらず容赦なく、厳しい残暑が続いている。
でも、風の肌ざわりがちがう。あれほどうるさかった蝉の声も、いつの間にかぴたりと止んでいる。
知らないうちに季節が変わる。
人間もふしぎだけど、自然界はもっとふしぎだ。
五分も待たないうちに矢神がやってきた。
さっき、どうしても話したいことがあるので屋上に来てほしいとメールを送ったのだ。
少し迷惑そうな顔をしている。立っている場所も、必要以上に私から距離をとっていて、それ以上近づく気配がない。
「やっぱり、おかしいとおもうんですけど」
私は矢神に向かっていった。
「社内で自由に話ができないなんて、おかしいです」
「しばらくの間だ」
「しばらくって、どのくらいですか」
「……」
「うわさが消えるまで、ですか?」
矢神の視線がわずかに揺らいだ。当たりだ。
矢神は、私との間にうわさが立つことを予測して、予防線を張ったのだ。
でも、風の肌ざわりがちがう。あれほどうるさかった蝉の声も、いつの間にかぴたりと止んでいる。
知らないうちに季節が変わる。
人間もふしぎだけど、自然界はもっとふしぎだ。
五分も待たないうちに矢神がやってきた。
さっき、どうしても話したいことがあるので屋上に来てほしいとメールを送ったのだ。
少し迷惑そうな顔をしている。立っている場所も、必要以上に私から距離をとっていて、それ以上近づく気配がない。
「やっぱり、おかしいとおもうんですけど」
私は矢神に向かっていった。
「社内で自由に話ができないなんて、おかしいです」
「しばらくの間だ」
「しばらくって、どのくらいですか」
「……」
「うわさが消えるまで、ですか?」
矢神の視線がわずかに揺らいだ。当たりだ。
矢神は、私との間にうわさが立つことを予測して、予防線を張ったのだ。