上司のヒミツと私のウソ
「ぴったりだとおもわない?」

「女優の名前も知らないんだけど」

「山田亜佐美」

「聞いたことないんだけど」

「最近、ドラマによく出てるよね」

「いっつも主人公をいじめる役でね」

 演技力はあるけど、と安田はいった。


「イメージ悪すぎるよ」

「そうかなあ……」


「なに、考えてるストーリーでもあるの? そういえば『RED』を商品名にする企画案で、連作物を提案してたわよね」

「うん。まだ練りこめてはいないんだけど」


 頭の中で考えているだけの、もやもやした頼りないストーリーの断片を、安田に語る。聞き終えると、安田はしばらく考えこんでいたけれど、「いいんじゃない」といった。


「それ、明日のミーティングで発表してみれば」
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