上司のヒミツと私のウソ
秋田さんは、『RED』の女性メンバーの中では最年長の三十六歳で、これまでいくつもの大型プロジェクトに参加してきた強者だ。新井課長ですら、たまにやりこめられるという。
その秋田さんに、化粧室の鏡越しにジロリと鋭い目で睨まれ、私は完全に硬直した。
「毎日遅くまでがんばるわね」
秋田さんは真剣な口調でいった。
「この前見せてもらった企画案ね。『RED』を商品名にするってアイデア、あれ、おもしろいとおもう。紅茶のイメージとうまく結びつけられるかどうかが、難しいところだけど」
いきなりだったのでびっくりした。私はとっさに「あ、はい。そうですね」などと、とぼけた返事をしてしまう。
「ごめんなさい」
急に謝られて、ますますわけがわからなくなる。
「あなたのことを少し誤解してたみたい。だめね、うわさ話を真に受けちゃ」
秋田さんは化粧ポーチから口紅をとり出し、鏡を見ながら唇にさっとひとぬりすると、照れたような苦笑いを浮かべた。
その秋田さんに、化粧室の鏡越しにジロリと鋭い目で睨まれ、私は完全に硬直した。
「毎日遅くまでがんばるわね」
秋田さんは真剣な口調でいった。
「この前見せてもらった企画案ね。『RED』を商品名にするってアイデア、あれ、おもしろいとおもう。紅茶のイメージとうまく結びつけられるかどうかが、難しいところだけど」
いきなりだったのでびっくりした。私はとっさに「あ、はい。そうですね」などと、とぼけた返事をしてしまう。
「ごめんなさい」
急に謝られて、ますますわけがわからなくなる。
「あなたのことを少し誤解してたみたい。だめね、うわさ話を真に受けちゃ」
秋田さんは化粧ポーチから口紅をとり出し、鏡を見ながら唇にさっとひとぬりすると、照れたような苦笑いを浮かべた。