上司のヒミツと私のウソ
勝手にやってきて勝手に用事を済ませ、勝手に礼をいって、ひらひらと片手を振って去っていった。強引なうえに隙がない。
──西森とは正反対だな。
白いワンピースの後ろ姿を見送って、会社にもどった。
朝から会議室にこもりっぱなしで一服もしていない。エレベーターで最上階に直行した。
コンビニで買った弁当を食べ終えると、私はペットボトルのお茶を飲み干し、パイプ椅子の背に体をあずけてのどかな秋空を見上げた。
屋上はすっかり過ごしやすくなっていた。
陽射しはやわらかくふりそそぎ、日ごとに冷たくなる風が心地よく肌を撫でる。おだやかな水色の空に、筆で刷いたような筋雲が浮いている。
矢神が彼女と一緒に行ってしまったあと、食堂に行ってもよかったのだけれど、安田に会えばまたちくちくと嫌味をいわれそうなので、やめた。
──西森とは正反対だな。
白いワンピースの後ろ姿を見送って、会社にもどった。
朝から会議室にこもりっぱなしで一服もしていない。エレベーターで最上階に直行した。
コンビニで買った弁当を食べ終えると、私はペットボトルのお茶を飲み干し、パイプ椅子の背に体をあずけてのどかな秋空を見上げた。
屋上はすっかり過ごしやすくなっていた。
陽射しはやわらかくふりそそぎ、日ごとに冷たくなる風が心地よく肌を撫でる。おだやかな水色の空に、筆で刷いたような筋雲が浮いている。
矢神が彼女と一緒に行ってしまったあと、食堂に行ってもよかったのだけれど、安田に会えばまたちくちくと嫌味をいわれそうなので、やめた。