上司のヒミツと私のウソ
金曜の夜。会議室にこもり、テーブルに広げた資料を前に唸りながら頭を抱えている俺と本間に向かって、とうとう谷部長がつぶやいた。
「ほかの名前でいこう」
俺はおもわず、顔をあげて谷部長を睨んだ。
「部長だって『RED』がいいといったじゃないですか」
「それはまあ……俺はいいとおもったんだが」
「いまさらほかの名前なんて、考えられませんよ」
強い口調でいい返すと、谷部長は同情めいた溜息をついた。
「そういうけどな、あの年寄りたちの頭の固さといったら、相当なもんだぞ。あのようすじゃ、脳の中身はまだ昭和のままだな」
谷部長はめずらしく辛辣なことをいった。
「落ち着いてよーく考えてみろ。経営会議で二回以上棄却された商品が発売に至ったことは、過去に一度もない。このままじゃ、おまえたちの『RED』は間違いなく中止になる。いいのか、それで」
「だから、こうして粘ってるんじゃないですか」
「ほかの名前でいこう」
俺はおもわず、顔をあげて谷部長を睨んだ。
「部長だって『RED』がいいといったじゃないですか」
「それはまあ……俺はいいとおもったんだが」
「いまさらほかの名前なんて、考えられませんよ」
強い口調でいい返すと、谷部長は同情めいた溜息をついた。
「そういうけどな、あの年寄りたちの頭の固さといったら、相当なもんだぞ。あのようすじゃ、脳の中身はまだ昭和のままだな」
谷部長はめずらしく辛辣なことをいった。
「落ち着いてよーく考えてみろ。経営会議で二回以上棄却された商品が発売に至ったことは、過去に一度もない。このままじゃ、おまえたちの『RED』は間違いなく中止になる。いいのか、それで」
「だから、こうして粘ってるんじゃないですか」