上司のヒミツと私のウソ
 ポスターを眺める西森の横顔に、期待する感情を見つけることはできなかった。だが、なにを期待していたのかは、自分でもわからない。


「昨日……」

 おもわず声をかけると、西森は怯えた目で俺を見た。だが、すぐに表情を消して、むりやりそれを覆い隠そうとする。


 昨夜、隼人から連絡があった。

 昨日の夕方、西森と会っていたらしい。


 どんな理由で、なんのためにふたりが会っていたのかは知らない。隼人がわざわざ俺に知らせてきたのは嫌がらせのためだから、内容を教えるはずがない。


 ひとつだけわかったのは、意外にも、隼人が西森を気に入っているらしいということだった。

 隼人は昔から、相手を気に入れば気に入るほど、冷酷な手段で懐に踏みこもうとする。俺と有里が結婚するなどというでたらめを、西森に吹きこんでいる可能性もあった。


 西森にどう説明すべきか迷う。
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