上司のヒミツと私のウソ
「あ、はい。そうです。彼女の日常をドラマ仕立てで描いていきます。今回は白いシャツなんですけど、ハンカチとか、スケジュール帳とか、アイスクリームとか、タイトルバックにする“白”は毎回変わります。ただし“赤”のほうは変わりません。もちろん、いつでも『RED』です」
ごりごりと顎をかきむしりながら、柳瀬部長は「あ、そう」とそっけなくいい、セットの方へ歩いていった。
撮影が無事に終わったのは、夜もかなり遅い時間になっていた。
「ああ~、疲れたあ」
スタジオを出たとたん、安田が溜めこんでいたストレスを解放するような声でいった。
「終わったねえ」
「いやいや、問題はこれからでしょ」
「どうなるのかねー、『RED』は」
撮影に立ち合ったほかのメンバーが、口々にいう。安田は彼らが駅に向かって歩き出したのを見送って、私の横に並んで歩く。
ごりごりと顎をかきむしりながら、柳瀬部長は「あ、そう」とそっけなくいい、セットの方へ歩いていった。
撮影が無事に終わったのは、夜もかなり遅い時間になっていた。
「ああ~、疲れたあ」
スタジオを出たとたん、安田が溜めこんでいたストレスを解放するような声でいった。
「終わったねえ」
「いやいや、問題はこれからでしょ」
「どうなるのかねー、『RED』は」
撮影に立ち合ったほかのメンバーが、口々にいう。安田は彼らが駅に向かって歩き出したのを見送って、私の横に並んで歩く。