上司のヒミツと私のウソ
「主役がここにいちゃまずいんじゃない?」
私が聞くと、安田は「別にいいよ」と親しみのこもった笑顔を向ける。
倉庫を出ようとして、まだ壁に『一期一会』のポスターが貼ってあることに気づいた。右の角が剥がれかかっているし、全体に色あせて微妙な風合いになっている。
「そういえば、一階のロビーで広告展をやるからって、広報が昔のポスターを根こそぎ持っていったけど、あれって今日からじゃなかったっけ。あとで見にいこうか」
ドアに鍵をかけながら、安田が思い出したようにいった。それから「もう時間がないんだった」と肩をすくめる。
「矢神課長なら上じゃない?」
そわそわしている私を見て、安田はすぐに察したらしい。人差し指の先を上に向け、屋上を指し示した。
「じゃあ、私は先に行ってるから」
そういって、安田は荷物をとりに企画部の執務室にもどりかけ、ふと足を止めた。振り返る。
「ありがと」
当然、私は「なんのこと?」と聞く。
私が聞くと、安田は「別にいいよ」と親しみのこもった笑顔を向ける。
倉庫を出ようとして、まだ壁に『一期一会』のポスターが貼ってあることに気づいた。右の角が剥がれかかっているし、全体に色あせて微妙な風合いになっている。
「そういえば、一階のロビーで広告展をやるからって、広報が昔のポスターを根こそぎ持っていったけど、あれって今日からじゃなかったっけ。あとで見にいこうか」
ドアに鍵をかけながら、安田が思い出したようにいった。それから「もう時間がないんだった」と肩をすくめる。
「矢神課長なら上じゃない?」
そわそわしている私を見て、安田はすぐに察したらしい。人差し指の先を上に向け、屋上を指し示した。
「じゃあ、私は先に行ってるから」
そういって、安田は荷物をとりに企画部の執務室にもどりかけ、ふと足を止めた。振り返る。
「ありがと」
当然、私は「なんのこと?」と聞く。