SECRET LOVE

というか、何故お前が私の番号を知っている


「僕ね、兄さんの携帯、見ちゃいました~」



……………は!?


「な、何がっ!?」


ソンミンの話が全くわからなくて、

つい、そう言ってしまった



「だからね、ユンファ兄さんの携帯、見ちゃいました」


「なっ!?どうしてそんな事したの!?」


最低やん!!!



「兄さんね~、ものすごく機嫌悪くて、お昼くらいから、ずっと訛(なま)ってるんですよ~


もう、困ってしまって~」





「………それで、どうして私にかけてきたの?

どう関係があるのか、わからないですけど……」





っていうか、訛ってるって、何!?



「うーん、そうですねー



兄さんね、ずっと携帯ばっかり見てるんです~

わかりますか~?パカパカやってるんですよ~


まるで何かを待ってるみたいに~」






………………何かを?




待って?





「………それで?」


ソンミンの言葉が理解出来なくて、冷たく返す


「……え?


それでですか!?


朝、辻元さんに兄さん、メモしてたでしょう?


兄さんの発信履歴、辻元さんの名前、並んでました!

ごめんなさいね、兄さんに、電話してもらえないですか?」




いやいやいやいや、


関係ないやろ、それ



「で、電話は後で用事があるからかけますけど…

何だかわかりませんけど、気のせいだと思いますよ?」


私がそういうと、



「ありがとう!きっと、これで大丈夫ね!!」


何が大丈夫なんだ……



でも、声が一気に高くなったのを確認し、
ソンミンがいいならそれでいいかと思って



「…う、うん……」




よくわからないまま返事をした



「…あと~…」


ソンミンはまだ何かを話し足りないらしく、



「………何ですか?」


「………兄さんね、極度の人間嫌いね」



………………は?



「…ど、こが!?」


ソンミンが急にそんな話をするから、私は驚かずにはいられなかった



「兄さん、田舎から出て来て、メンバーで一番、純粋にこの仕事好きです

僕は、たまたまこの仕事について、たまたま今SOUTHにいます

他のメンバー、やりたい事たくさんありますけど

兄さん、ちょっと、皆と違う」



「え?何?」


何の話?



「一番、優しいの


ユンファ兄さんね…でも、ちょっとイロイロありまして~

ちょっと人間嫌い」





……………………は?



淡々と話すソンミンの言葉に、頭が追いつかない



「…言ってる意味がわからないんですけど………」



だいたい人間嫌いって、

受付の女の子口説いたり、藤堂さんとお茶したり、
私を呼び付けたり



そうは見えないけど?






「違います~!


辻元さんも、兄さんの事、わかって欲しくて


それもあって、電話かけました!

そういうのも、大切ね!」



………………さっぱりわからん……



「…………は、はい…」



「…あっ!」


ソンミンはそう突然声をあげると、


ガチャガチャと音をたて、



ツー、ツー、ツー、…


と、電話が切れた






「………はぁ!?」


何だったんだ今のは………!?



全くわからん………






かけ直そうかと思ったけど、何となく止めておいた



ソンミンの抜けた声が頭に残る



首を傾げながら、やっと私はユンファに電話をかけようと指を動かした



なかなか出ない


待っている間、やけに胸がドキドキして、

諦めて電話を切ろうとした

その瞬間

「…もしもし……」





突然のユンファの声に、驚いて言葉につまった




「…?もしもし?イクゥ?」





……………だっ……ダメだ……






「……イクゥ、じゃなくて、イ・ク!!」


私は緊張を解こうと、そう大きな声を出した





「……………」


黙り込んだユンファに、


「きっ……聞いてますかっ!?」


無駄にドコドコと音をたてる胸を押さえながら、そう言った


「………アー、うん」



「じゃ、いいけど……」



何を話すんだったっけ……





あ、

「き、今日は、ごめんなさい」

私は寝過ごした事を思い出し、謝罪した



「………良く寝てた」

冷たいユンファの声に、



「す、すいません……」



本当、すいません…








「…ずっと寝てた?」



「あ、はい…」


何だか気まずくて、それ以外何も言えなかった



「そう」


「………」

全然寝てないユンファ達が一生懸命仕事している間、ずっと寝ていた事が後ろめたくて、言葉が出てこない



「明後日まで、日本にいるから、
その間に、打ち合わせしておきたいんだけど」


淡々と話すユンファの言葉に、





「……ええっ!?」


油断していた私は、大声で驚いた






「だから…」


ユンファのその声に、




あぁ、だからか…



と、勝手に一人で納得した



時間がないんだ

だから、打ち合わせを昨日の朝方にしたんだ



「…次はいつ日本に?」



「再来週の打ち合わせには、来ると思う」


「再来週?」


再来週に打ち合わせなんてあるのか?


「テレビ収録と、ライブ打ち合わせがちょうどその時にあるから」



…………知らなかった




というか、そういうの
ちゃんと教えてよ!藤堂さん!!


「ご、ごめんなさい


私は準備出来てるんで、いつでも大丈夫ですから」

私がそういうと、





「………今日でも?」



「はっ!?」


また今日!?







「…………」


黙るユンファに、流石に私も黙る











寝てないやん!ユンファ!!


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