俺様の熟した恋の実~10years~
羽音は俺の腕の中で、ポカーンと口を開けてテレビに夢中。
このアホ面、幼稚園時から変わらない。
「カイさん……交際認めたね…。事務所大丈夫なのかな!?」
「大丈夫じゃ…ないだろ。仕事よりも大切なモン優先したんだから」
「やっぱカイさんカッコイイねぇ~♪」
「は!?俺とどっち?」
「りょ、涼雅に決まってるじゃん!」
「だよな~」
軽く妬いた俺は、ごまかすように羽音の髪をくしゃっと撫でた。
記者会見が終了すると羽音の電話に雪花から電話。
「あっ、もしもし雪花ちゃん!」
『カイ……バカなことしてくれるんだから…』
「でも俳優のカイさんカッコよかったよね!」
『恥ずかしくて学校行けないわ』
電話越しに聞こえる雪花の声。
その声は久しぶりに聞いた明るい声だった。