俺様の熟した恋の実~10years~
ファーストピアスはピンク色
【羽音side】
夏の生ぬるい風があたしを包む。
初夏の蒸し暑い午後、あたしと涼雅は屋上へ続く昇降口で授業のサボリ。
二人きりの時間は何よりも大好き……。
「ねぇ涼雅。もうすぐで何の日か知ってる?」
「あー……夏休み!どっか行きたいの?」
「違う!付き合って1年の記念日だよ……」
「こんな夏に付き合ったっけか?」
「ひどい……」
ほんっとに男の子って記念日とか、覚えててくれないんだから!
階段であたしよりも上段に座ってる余裕の表情の涼雅。
なんか悔しい……。
「あたしばっか涼雅のこと好きみたいじゃん……」
「俺は羽音のこと10年前から好きだった」
「…涼雅好きー!」
「満足かよ、これで」
「うん!満足♪」
あたしも単純なんだ。
『好き』って一言言われれば満足するんだもん。