俺様の熟した恋の実~10years~
ベストカップルですがなにか?
【涼雅side】
秋の冷たい風が吹く屋上の昇降口。
季節はもう10月前半。
放課後の二人きりの時間を過ごす。
そんな羽音の手には1枚のプリントが握りしめられていた。
「お願いだよ~涼雅!」
「ヤダって言ってんじゃん。無理」
「こんなにかわいい彼女が頼んでるんだよ?お願い?」
「かわいこぶっても無理。自惚れんな!」
下を向いていじけた仕草を俺に見せる。
さっきからずっとこの繰り返しだ。
文化祭の行事なんて俺が出るわけない。
「ベストカップル出ようよー!」
「ヤダ」
「涼雅のケチ……」
「ケチが膝ケガしてまで彼女のためにサッカーするかよ」
「それはっ……感謝してるよ…」
あの試合出たあとサッカー部からスカウトしつこくて迷惑した……。
顧問直々に頼みに来るから。