俺様の熟した恋の実~10years~



めんどくさい土曜日講習を終えて、羽音と駅に向かう。


土曜日のせいか駅には家族連れが多い。


公園で遊ぶ家族を羽音は、ジーっと見詰めている。


『家族』ってモノが今の羽音には難しい話かもしれないな……。


「ねぇ、涼雅?これから予定ある?」

「……なんもないけど」

「じゃあさ、ちょっと公園寄ってかない!?ほら、紅葉キレイだし♪」

「風邪引いたら困るから、ちょっとだけな」


羽音と公園の片隅にある、錆びれた木のベンチに座った。


冷たっ…!


回りは木に囲まれてて、いかにも秋って感じ。



「……あたしね~…家族で公園に来たことないの」

「そっか……。でも、幼稚園時帰りによく遊んでたな」

「そうだね!あれは楽しかったけど……パパと…家族ではないんだ~……」


切なそうな顔で空を見上げる羽音。


それにつられて俺も空を見上げた。


雲一つない快晴。


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