俺様の熟した恋の実~10years~
どれだけ時間が経っただろう。
公園で遊んでた家族も気付けばいなくなっていた。
残されたのは俺と羽音と、どこか切ない気持ちだけ。
「ママとパパ……あんなに仲良しだったのに。別れるって簡単なんだね……」
切ない顔で俯く羽音にやってやれることは、ただ隣で手を握るだけ。
ただ………それだけ。
「でも……人を好きになるのも簡単なんだよね、きっと」
「それが一番簡単なことかもしれないな……」
「実際、ママも再婚したし。……パパは何してるのかな~?」
「どっかで、ちゃんと暮らしてるって。そんな不安そうな顔すんな」
「へへっ……ごめんね…こんな話して……」
俺の手を握る小さな指に力が入った。
小さかった羽音には何もできないのは、当たり前だ。
「あんまり自分のこと責めんな……」
小さく羽音は頷いた。