俺様の熟した恋の実~10years~
その日の夜、あたしは涼雅の部屋の窓から見える桜の木を眺めてた。
蕾からやっと花が咲いてピンク色が夜空に映えている。
「ずっと窓開けてたら風邪引くぞ」
「うわっ!涼雅……びっくりさせないでよ」
「いつまでパンダ抱っこしてんだよ。ガキか」
涼雅にパンダをひょいと取られた。
あたしのパンダー!
隣に座った涼雅からパンダを取り返したところで、やっぱり話題は卒業式に。
「俺がカイさんに花渡すことになった」
「え!涼雅が!なんでそこ雪花ちゃんに譲らないの~?」
普通は彼女の雪花ちゃんじゃん!
パンダでバシッと涼雅の腕を叩いた。
叩いたところでまたパンダ取り上げられるだけなんだけどさ………。
「女子がもめてうるさいから、男子にしろって言われて。だから俺」
満足そうに涼雅は言う。