俺様の熟した恋の実~10years~
確かに涼雅が渡すのが一番無難かもしれないね。
うん……ちょっと納得。
「この時期になったら思い出すんだよなぁ~……卒園式」
「うわ~!懐かしいねっ」
「あん時の羽音はかわいかったなー。俺いないとすぐ泣く」
否定できないじゃん……。
卒園式で涼雅といれるのが最後って分かった時、無性に悲しくてずっと泣いてた。
みんなが笑って写真撮ってる横で、涼雅の手を離さないでずーっと泣いてた。
涼雅が側にいなくなるってことが、小さなあたしにとっては大きかったのかもね。
「それくらい寂しかったの。涼雅がいなくなるの」
「泣いて会いたがってた俺にやっと会えたじゃん」
「うん。だから……もう絶対にいなくならないでね?」
「変なこと言うなよ。気持ちわりぃ」
ケラケラ笑いながらあたしの頭をくしゃくしゃ撫でる。
そう、やっぱり別れは寂しいんだ。