俺様の熟した恋の実~10years~
どれだけ話しただろう。
レストランに来た時は薄暗かった外が、真っ暗になり街灯が駅を照らしていた。
「羽音。何か困ったことがあったらすぐに連絡してね?」
「うん、分かった。またね」
ママと友紀さんと別れて駅から帰ろうとすると、「羽音!」と大きく呼ばれた。
裕紀くんに初めて呼び捨てにされたかも……
「またなっ!あ、受験勉強頑張れよ!」
「ありがとう。裕紀くん!」
「彼氏と仲良くすんだぞ~!気軽に電話とかしていいからな?」
「うんっ」
「俺、羽音の兄ちゃんだし!」
ぐしゃぐしゃの紙に走り書きの裕紀くんの連絡先。
あたしはそれを握りしめて駅へ向かった。
なんとか新しい家族に馴染めそう。