俺様の熟した恋の実~10years~
うとうと……うとうと……
俺に寄り掛かって眠りに落ちる瞬間で、羽音はハッと起きた。
「んっ!…」
「どした!?」
「裕紀くんと今度出掛けて来るね」
「……え?」
ふわっと俺に笑いかける悪気のナイ笑顔。
なんで兄ちゃんと出掛けんの?
それで頭がいっぱいになった。
「あ、口止め料!教育実習生ってバレないように~……みたいな。…ダメ?」
「別に。行けばいいじゃん」
「うん……。なんか涼雅冷たくない?」
「気のせいだって。ほら、寝ろ」
「えっ!…う、うん」
羽音を俺に寄り掛からせて、嫉妬心を抑える。
バカみたいだ俺。
こんなんで羽音に冷たくするとかないわー……。