俺様の熟した恋の実~10years~
運が良いのか悪いのか、放課後のこの教室には誰もいない。
ってか、なんで涼雅があたしと一緒に教室残ってんの!?
ワケわかんない。
「あたし……もう行く…。職員室でも行ってよーかな」
「なぁ、ちょっと待てよ……」
「なに?離してよ……!」
掴まれた手を振りほどき、あたしは背中を向けた。
ほんとは涼雅にこんな、かわい気ない態度取りたくないのに………。
「お前さ……アイツと俺……どっちが好き?」
「何なの?……あたしそろそろ時間だから離してよ…」
涼雅が、すごく不安そうな顔をしたから強く言えなかった。
「あれ?羽音ちゃんと涼雅じゃん。何してんのさ~」
「……咲夜くん!」
筆箱とノートを持ってダルそうに教室に入って来た。
咲夜くんは仕事で学校に来れない分、放課後に勉強して単位の埋め合わせをしてるみたいで……。