俺様の熟した恋の実~10years~
しばらく沈黙が続く部屋。
時計を見上げれば夜の10時。
気付けばこんなに羽音といたんだ。
「………落ち着いたか?」
「…うんっ。……あたしのこと嫌い?」
不安そうな目で見詰められる。
「嫌いにはなんねぇよ。ただ……信用は少し欠けた」
「やっぱり……そうだよね…。ごめんね…」
さらに不安そうな顔で、俺から目を逸らす。
羽音のこと嫌いになろうって思っても、嫌いになれねぇよ。
絶対に………。
「……あっ、あたし……そろそろ部屋戻ろうかな…」
「……もう少しいてもいいじゃん?」
「ううん。着替えて来るだけだよ。まだ制服だから」
「そっか…」
優しく笑って俺の部屋から出てった。
今は何だか、羽音に離れてほしくない。
子供みたいに執着する自分が恥ずかしくも感じる。