Secretな関係
「ただいま…」
「おかえり、どうした?」
「どうした?って?」
靴を脱ぎながら聞く。
「なんか顔色悪い」
そりゃそうだよ…
「クラスメイトにここバレちゃった」
そうしょげながら言うと、
「別に良くない?」
そうさらっと返された。
「ええ⁈裕也は良いの?その、ばれても」
「んー、俺に被害はないだろ」
「俺に?」
「ゆあは、俺のファンに殺されるだろ」
「ファン⁈」
裕也の発言に笑ってしまう私。
「あ、お前、これ本気で言ってるんだからな」
「ファンとか…おかしいよ」
笑いが堪えきれない私に、少し真面目な顔で近づいてくる裕也。
「な、何…」
私を壁に追いやり、すごく近い距離まで顔を近づけてくる。
「痛い目みても助けてやんないからな」
「そっ、そんな漫画みたいなこと…あるわけないよ…」
取り囲まれたり…でしょ?
私がそう返すと、少し離れて、
「あっそ、言っとくけど俺、月に何回か告白されるんだからな」
「う、うそでしょ?」
ほんとだったら、尚更同棲してるなんてばれたくないじゃない。
「ま、いじめられたら言ってきてよ。一応助けてやるから」
「えー?ちょっとだけ怖くなってきたよ」
そう私が言うと、はいはいと言いながら、手を広げ私を抱きしめる裕也。
「ほんとに嫌なことされたときはすぐ言うんだよ?」
そう甘い声で私の頭を撫でながら言う。
恥ずかしい。いつもなら、軽く突き放していたかもしれない。
でも、なんだか心地よくて。
裕也の温もりを感じてとても落ち着く。
今日は、もう少しだけ…このままが良い。