Secretな関係
この…階段!
確か、屋上に上がるのは、ここだったはず…!
そう思いながら、登る。
一段ずつ、走り回ってへとへとになった足を動かして登る。
ドアノブを手に取り、開けようとすると同時にドアが開く。
咄嗟に手を離せるわけもなく、開いた人に向かって飛び込んでしまった。
「きゃあ!」
私の悲鳴と、相手と私が倒れこんだときのドサッという音だけが聞こえる。
「すみません」
そう言って顔を上げると、そこにいたのは裕也だった。
「はぁ…居なくなって結構経つし、携帯見てないのかと思って探しに行こうとしたらこれだよ…」
「携帯?」
そういってポケットから取り出すと、メールの欄に通知のマークが一つ。
そこには、屋上とだけ書かれてあった。
「見てなかった…っていうか、屋上って!それだけなの?いつも思ってたけど、裕也のメールって素っ気ないよね」
そう言って笑うと、
「お前のメールは、チカチカうるさい」
と言われてしまった。
確かに、絵文字なんかはよく使うけど…
「普通だよ!」
「はいはい」
顔を合わせる度に、こんな些細なことで口喧嘩ばかり。
でも、良いの。私には、これが幸せだからね。
『間も無く花火が打ち上がります!彼女居ない僕は!一人で放送室から見ます』
なんて、放送が流れ、カウントが始まる。
倒れこんでいた私たちも立ち上がり、少し移動する。