Secretな関係
「それでは出発します」
係員さんの軽快な掛け声と共にジェットコースターが動き出す。
「後で覚えとけよ」
震えながら私にそういう裕也。
びびった顔のせいか威圧感は全くない。
「絶対そんなことないってー」
コースターがどんどん登っていき、周りの景色が高くなる。
「乗ったことないから言え…」
一番上に差し掛かったところで言い始めた裕也の言葉は、急降下すると同時に悲鳴にかわった。
「わー!たのしーい!」
隣でわーきゃー叫ぶ裕也に笑いながらそう言う。
しかし裕也は強張った顔で全くこっちを向いてくれない。
二回目の急降下に差し掛かったとき、ふいにバーを掴んでいた私の手に重なる大きな手。
無意識なのか必死で私の手を掴む裕也。
ジェットコースターどころではなくなった私はドキドキを隠すように叫んでいた。