Secretな関係



忙しなく出て行ったかと思うと、息を切らし家に帰ってきた。

裕也の手には水と妊娠検査薬。


「あ…」


そこで私もようやく気付いた。

もしかして…これつわり?


「とりあえずこれで口濯いで…あとこれ…」


どんな気持ちで買ったんだろうかなんて考えると少し笑える。


渡されたままトイレで試してみる。

それからはドキドキで…きっと裕也も緊張しているだろうなーなんて呑気に考えながら何分か経ち確認してみる。


「ゆっ裕也!」


ばんっとドアを開け、反応の出た様子を見せる。


「え!うそ…じゃあここに…」


「居る…みたい…!」


すると、ぽろぽろと涙を零す裕也。

つられて私の目からも涙が滲み出る。


「嬉しい…」


そう言って裕也は優しく私を抱きしめてくれた。


「嬉しいね」


嬉し泣きをする裕也の背中をさすってあげる私。

こんなに喜んでくれるなんて、私もこれから生まれてくる赤ちゃんも幸せものだね。

その後に食べたお鍋の中ののびきったうどんまで幸せな気持ちで食べることが出来た。
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