最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
哀しい決断
それから10日ほどが過ぎた。
俺はあの日、てっきり恭子さんに振られたと思ったが、そうではなかったらしい。翌日も翌々日も恭子さんから何も連絡がなく、もう終わりだと思って俺は落ち込んでいたのだが、3日目に連絡が来て、俺のアパートでセックスをした。
単に恭子さんは生理が終わるのを待っていたのか、それとも彼女が言ったように、二人の間に距離を置くようになったのか……
いずれにしても、俺と恭子さんの間には深い溝が出来てしまったように思う。
「川田君?」
俯いてボーっとしていたら、俺を呼ぶ声がして顔を上げると、莉那先輩が困ったような顔で俺を見下ろしていた。自慢の臭覚まで衰えてしまったようだ。
「はい、何でしょう?」
「今、時間ある?」
「はあ、ありますけど?」
「じゃあ、お茶に行きましょう?」
俺はのろのろと立ち上がり、莉那先輩に着いて行った。
おそらく恭子さん絡みの話だろう。何を言われるのかな。あ、もしかして別れろって言われるのかも。それを恭子さんは自分で言えなくて、莉那先輩に頼んだのかもしれない。
はあ……
足が重い。まるで鉛の靴を履いてるみたいだ。