最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
「川田君、ありがとう。そこまで恭子を好きになってくれて……」
俺の話が終わり、最初に言った莉那先輩の言葉はそれだった。しかも感極まるって感じで、目を潤ませていた。意外過ぎる莉那先輩の反応に、俺は戸惑ってしまった。
「はあ。でも、肝心の恭子さんには迷惑だったみたいです」
「迷惑、ねえ……。ある意味、そうかも」
うっ。ちょっとは否定してくれるんじゃないかと期待して言ったのに、あっさり肯定されてしまった。すげえショック。
「でも恭子、さぞや嬉しかったでしょうね……」
俺が肩を落としていたら、莉那先輩はそんな事を呟いた。
「迷惑なのに嬉しいんですか? それって、すげえ矛盾してると思いますけど?」
「うふふ。確かにそうね」
「笑い事じゃないですよ。ったくもう……」
莉那先輩は「ごめん」と言い、改まったように真剣な顔をした。
「あの子が言う通り、今のままでいいのじゃないかしら」
「何でですか? 俺にはさっぱり解りません。好きなら一緒に暮らしたいとか、結婚したいと思うのは自然じゃないんですか?」
「普通はそうだけど、あの子には事情があるのよ……」