最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
さっき来たばかりの喫茶室で、俺は中嶋さんが来るのを待った。
すると少しして、中嶋さんがやって来た。茶髪の長い髪にこんがり日焼けした顔と腕。おまけに真っ白なスラックスにアロハみたいなド派手なシャツを着た彼は、およそサラリーマンには見えず目立つ事この上ない。
中嶋さんはカウンターで飲み物をオーダーしているが、俺はテーブルに着いたまま放っておいた。本来は俺が呼び出したんだからそっちへ行き、飲み物代を持つのが礼儀だが、まあ、いいや。
「君、ニューフェイスだよね? カワユイねえ~」
なんて、中嶋さんは大きな声で店員の女の子に声を掛けていた。見掛けに違わず、チャライ人だなあ。あんな男に恭子さんを譲ってもいいのだろうか……
いやいや、あんな男でも恭子さんが好きなら、仕方ないよな。
「やあ、お待たせ。ってか、はじめましてだよね?」
「そうですね。広告部の川田陽平と言います」
「うん。俺はシステム部の中嶋誠。話って何かな?」
中嶋さんをこんなに間近で見るのは初めてだが、遠目で見てもかなりのイケメンだが、近くで見ると更にイケメンだ。サラリーマンよりも、モデルや役者をした方が良かったんじゃないか、と思えるほど。
きっと恭子さんは、この顔に惚れてんだろうなあ。