最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜

“善は急げ”の格言に従い、その日の夜に恭子さんと中嶋さんを引き合わせる事にした。本当に“善”なのか、少し疑問は残るけれども。


駅ビルの中のちょっと洒落た感じの喫茶店に恭子さんと来ている。中嶋さんと約束した時間までは10分ほどある。


「どうしてわざわざこんな所でお茶するの?」


恭子さんは見るからに不機嫌そうな顔で言った。あの日、つまり俺が恭子さんにプロポーズして以来、恭子さんはこんな風に不機嫌な事が多い。ちょうど初めて会った時のように。


おそらく恭子さんの中では、俺が疎ましくなっているのだと思う。俺の恭子さんへの熱過ぎる想いが鬱陶しいのかもしれない。やはり俺は、身を引くべきなのだろう。


「これからある人がここに来ます」

「誰?」

「それは……恭子さんが密かに想いを寄せてる人です」

「私が? 何を言ってるのかわからないわ」

「隠さなくていいですよ。俺、知ってますから。中嶋さんの事……」

「えっ? どうして、それを……」

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