最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
「ふーん、そうだったんだあ。さぞや素敵な男性なんでしょうね?」
「うん。でも、素敵と言うより可愛いって感じかな。たぶん私達よりうんと年下だと思う。今年の進入社員じゃないかと思うの」
「あらまあ、恭子ったら赤い顔しちゃって。可愛い」
「そ、そんな……」
「どんな子か、私も見てみたいなあ」
「莉那って年下の男の子に興味あるの?」
「恋の相手として?」
「うん」
「ないよ。私は年上じゃないと好きになれないの。大人で、少し強引なくらいに私を引っ張ってくれるような、逞しい男性じゃないとね」
「そうなんだあ……」
という事は、もし彼が莉那に気があったとしても、その想いが実る事はないのかあ。可哀相……
「で、どの子なの? その可愛い男子といつもご飯を食べてる子って」
「ん? あそこにいる子よ。ちょうど今食べ終わって立ち上がったところよ」
私は莉那に、よく彼が一緒にいる男の子を小さく指を差して教えた。
「ああ、あの子ね……って、田上君じゃん」