最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜

「莉那は知ってるの? あの子のこと……」

「うん、知ってる。と言っても田上君本人のことはあまり知らないけど、彼の友達ならよく知ってるわ。川田君っていうんだけど、よく田上君と一緒にお昼を食べてるの。今日はいないみたいだけどね……って、川田君のことなの!?」


莉那は目を丸くしてそう言った。でもそう聞かれても、私には判断できるわけもなく……


「なんて、恭子に聞いてもわからないよね。そうかあ、川田君のことだったのかあ。うん、間違いないわ」

「莉那……?」

「恭子の想い人はね、川田陽平君っていうのよ。私と同じ広告部で、歳は確か24か5。童顔だから、新入社員に見えても不思議はないわね」


へえー。彼は川田陽平君っていうんだあ。歳は私の3つか4つ下なのね……


「確かに川田君って可愛いよね? 性格もとてもいい子よ? それだけに、かなりの難関だわね……」

「難関?」

「不思議と彼女はいないらしくて、それだけに社内ですっごくモテるのよ。簡単には落ちてくれないわよ?」

「莉那ったら……」


難関とか落ちないとか、おおよそ私なんかには無縁な言葉を莉那は言った。私は彼を見てるだけで満足なのに……

でも、莉那のおかげで彼の名前と年齢がわかり、それだけでも私にとっては大収穫だと思った。


「じゃあ今度、川田君を紹介するわね?」

「え?」

< 132 / 191 >

この作品をシェア

pagetop