最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
「早速今夜にでも……」
「ちょっと待って」
「ん?」
「そんな事してくれなくていいから……」
「どうして?」
「どうしてって、私なんかじゃ……」
「あら。わからないわよ? 恭子は可愛いんだしさ、ひょっとするとひょっとするかもよ?」
「やめてよ、からかわないで」
私が可愛いだなんてもちろん思ってないし、人から言われた事もない。親からは言われた事があったかもしれないけど……
「からかってないよ。恭子、あなた鏡でよく自分を見てみなさいよ。目はすっごく綺麗だし、肌はつるつるだし……。お化粧したらもっと綺麗になるわよ?」
「そんな事……」
ないと思うけど、莉那の目は真剣だった。莉那は私をからかったりはしないから、少しはその気になってもいいのかな。
「いきなり付き合うというのが無理なら、友達としてでもいいんじゃない?」
「でも……私、男の人と話した事ってあまりないし……」
「そこはがんばってさ。中島君って子の時みたいに、見てるだけなんてつまらないでしょ?」
「ん……それはそうだけど……」
確かに、見てるだけよりも話をしたりしたいかな、という気持ちは正直あり、私は莉那に彼、川田陽平君を紹介してもらう事になった。