最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
そして、
「こっちはどうよ?」
そう言うが早いか、恭子さんは着ていた白いTシャツをガバッて感じで上にたくし上げた。
下着は付けてなくて、途端に真っ白でふくよかな乳房が露わになったが、その中央には、真っ直ぐ縦に走る長い傷跡があった。手術の跡だ。
「例え心臓が治っても、この傷は消えないのよ? もしまた手術をすれば、もっと酷くなる。今でさえこんなに醜いのに……」
恭子さんの顔は、もはや怒りではなく悲しみに満ちていた。目には涙をいっぱい溜め、唇を震わせて……
「恭子さん、俺にはちっとも醜く見えないけどな」
「嘘言わないで!」
「嘘じゃないよ。恭子さんが赤ちゃんの時からがんばって来た事を俺は知ってるから、がんばった勲章に見えるよ」
「嘘だ。そんな事……」
恭子さんはTシャツを下ろそうとしたが、俺はそれを手で押さえ、恭子さんの胸に顔を寄せると、傷跡にチュッと口付けた。