最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
「な、何を……?」
「敬意を表すキス、なんて言ったらキザ過ぎますかね?」
「…………」
恭子さんは無言で俺を見つめ、その瞳は揺れていた。そしてその目から涙が一筋流れ、俺はそれを指先で拭い、恭子さんの頭にそっと手を触れた。そして、
「恭子さん。俺は有りのままのあなたが好きです」
と言い、触れるだけのキスをした。もちろん、恭子さんの唇に……
「こんなんじゃ物足りないですか? 場所をわきまえて遠慮したんですが、いつもの淫らなやつ、やります?」
そう言って俺がニッと笑うと、
「バカ」
と言って恭子さんは俺に抱きついたので、俺たちはもう一度キスをした。今度は淫らに。いや、ちょっとだけ自重したけども。興奮すると、自分が辛くなるからね。
そして長いキスの後……
「恭子さん、お願いがあります」
「なあに?」
「生きてください」