最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
「恭子さん?」
「あ、はい。そうね。それでいいと思う」
「そうですか。それでですね、ちゃんと披露宴をしろって言うんですよ。最近は地味婚が流行ってるからって俺は言ったんですけど、それでは親戚に顔向けできないとか言うんですよ。なんせ俺の実家って、すげえ田舎なもんですから……」
「うふ、そうなの?」
「はい。というわけで披露宴をしたいんですけどいいですか?」
「いいんじゃない? 私の方はあまりお呼びする人はいないけど、上手く調整してもらえれば……」
「それは任せてください。それとですね……」
さっきは一瞬考え込んだような恭子さんだったが、今は穏やかに微笑んでいたりして、俺は調子に乗って更にこれからの話を続けた。
「俺たちの新居なんですけど、思い切って家を建てちゃったらどうかと思うんです」
「あらま」
「もちろんローンですけど、頭金は恭子さんにも出してもらっていいですか?」
前に恭子さんは貯金が腐るほどあると言ってたから、俺は図々しくもそう言ってみた。
「もちろん、いいわよ?」
「よかった……。それでですね、高くつくと思いますけど、注文建築にしようと思うんです」