最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
*** 恭子Side ***
駅で、長年の癖でエスカレーターに乗りそうになり、思い直して階段を上がって行った。また動悸がして息が切れるんじゃないかと心配をしながら。
でも、一気にホームまで上がったけど動悸はせず、息も殆ど切れてない。そう言えば、“切れてなーい”ってCMが昔あったわね。なんて事を思い、つい頬が緩んでしまった。
同窓会の会場へ着くと、入り口に受付があり、そこに男子が二人座っていた。名前は思い出せないけど、顔は憶えている男子と、中島君だ。
中島君は、昔とちっとも変わっていなかった。もちろんすっかり大人になっているのだけど、当時のイメージと変わってなくて、相変わらず正義感が強そうで、爽やかな笑顔もそのままだ。
「あの、ご苦労さまです」
そう声を掛けたら、中島君ももう一人の男子も、私の顔を見て困った顔をした。私が誰かわからないのだと思う。
テーブルの上に参加者の一覧が置いてあるので、私は自分の名前をそっと指差した。
「五十嵐さん!?」
中島君と、もう一人の男子が同時に声を上げ、目を丸くした。そんなに驚かなくてもいいのになあ……
「はい。お久しぶりです」
「ずいぶん変わったね? わからなかったよ、ごめんね?」
「いいえ、いいんです。中島君は変わってないのね?」
「そ、そうかな」
「お、俺はどうかな?」
もう一人の男子から聞かれた。
「はい、変わってないと思います」
でも、名前はどうしても出て来ないの。ごめんなさい。
既に結構な人数の同級生達が集まっていて、見渡せば意外な事に、その半数ぐらいの人達を私は憶えていて、懐かしい気持ちになった。
駅で、長年の癖でエスカレーターに乗りそうになり、思い直して階段を上がって行った。また動悸がして息が切れるんじゃないかと心配をしながら。
でも、一気にホームまで上がったけど動悸はせず、息も殆ど切れてない。そう言えば、“切れてなーい”ってCMが昔あったわね。なんて事を思い、つい頬が緩んでしまった。
同窓会の会場へ着くと、入り口に受付があり、そこに男子が二人座っていた。名前は思い出せないけど、顔は憶えている男子と、中島君だ。
中島君は、昔とちっとも変わっていなかった。もちろんすっかり大人になっているのだけど、当時のイメージと変わってなくて、相変わらず正義感が強そうで、爽やかな笑顔もそのままだ。
「あの、ご苦労さまです」
そう声を掛けたら、中島君ももう一人の男子も、私の顔を見て困った顔をした。私が誰かわからないのだと思う。
テーブルの上に参加者の一覧が置いてあるので、私は自分の名前をそっと指差した。
「五十嵐さん!?」
中島君と、もう一人の男子が同時に声を上げ、目を丸くした。そんなに驚かなくてもいいのになあ……
「はい。お久しぶりです」
「ずいぶん変わったね? わからなかったよ、ごめんね?」
「いいえ、いいんです。中島君は変わってないのね?」
「そ、そうかな」
「お、俺はどうかな?」
もう一人の男子から聞かれた。
「はい、変わってないと思います」
でも、名前はどうしても出て来ないの。ごめんなさい。
既に結構な人数の同級生達が集まっていて、見渡せば意外な事に、その半数ぐらいの人達を私は憶えていて、懐かしい気持ちになった。