最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
「それなら話は早いわ」
ん? “話”って何の話だ?
もしかして、それが今夜の本題なのか?
「川田君は恭子の事、どう思う?」
莉那先輩は、まるで子どもが親の顔色を窺うみたいな、申し訳なさそうな顔で俺の顔を覗き込むようにして言った。
それにしてもこの話の流れは、もしかして……
「どうって言われても、特には何も……」
思ってない。だって、俺はその恭子って人の事は殆ど見てないから。莉那先輩とよく一緒にいる人だなあ、と思うだけで、見るのはもっぱら莉那先輩専門だから。
俺の印象としては、髪の毛は長めで黒くて、確か黒縁の眼鏡を掛けてて……って、要するに黒のイメージしかないや。
「そう? じゃあ……付き合ってみない?」
「うっ……」
出たよ。予想した通りの展開。内気な友達に代わって告白、みたいな?
何が“じゃあ”なのか、いまいちわかんねえけど。
しかしいくら知らないとは言え、自分を好きな男に他の女を紹介するって、あなたは“鬼”ですか?