最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
*** 恭子Side ***


『もしもーし』


陽平君はすぐに電話に出てくれた。彼の声って、素敵。癒される。胸が熱くなっちゃう。"もしもし”だけでも。


「私です。今終わったところなの」

『あ、そうすか。二次会に行くんですか?』

「ううん、行かない。それでね、やっぱり実家に帰らないでそっちに行こうと思うんだけど、いいかな?」

『あー、いいですよ。迎えに行きましょうか?』

「ううん、大丈夫。ところで今、何やってるの?」

『い、家でゴロゴロしてますけど?』


あれ? 噛んでる。ん? 今、女の子の声が聞こえた……


「ねえ、誰か来てるの?」

『な、なんでですか?』


また噛んでるし。怪しいなあ。


「女の子の声がしたから……」

『て、テレビです。はい。テレビの音です、たぶん』

「そう? じゃあ、今すぐ帰るから、待ってて?」

『はーい』


うーん、なんか怪しいなあ、今の陽平君。まさか女の子を連れ込んでるんじゃ……


とか思いながら携帯をバッグに仕舞い、振り向いたら、中島君が怖い目で私を見ていた。

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