最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜

*** 陽平Side ***


すぐに恭子さんたちがいた所へ走って行ったが、恭子さんも中島さんらしき男もいない。どこへ行ってしまったんだろう。


すると、ビルの出入り口から恭子さんの同級生御一行様と思われる集団が出て来た。


「すみません、五十嵐恭子さんを見ませんでしたか？」


俺は藁をもすがる気持ちでその集団に聞いてみた。


「五十嵐さんは帰っちゃったみたいです」

「中島もいなくなったから、ひょっとして、あの二人は……」

「ちょっと、余計な事言うんじゃないわよ。この人が五十嵐さんの彼氏だったらどうすんのよ？」


はい、正解です。

なんて言ってる場合じゃねえな。くそっ。どこ行っちまったんだよ？


走りながら辺りを探したら、狭い路地の先で角を曲がる白いコートの女性が見えた。恭子さんだ！
しかも恭子さんは、明らかに無理やり腕を男に引かれていた。


あんの野郎……！


俺は猛然とダッシュで路地を駆けて行った。