最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜

「それだけは勘弁してください」


当たり前だが、俺はキッパリと断った。ところが……


「どうして?」


莉那先輩は引き下がってくれない。


「そんなの決まってるじゃないですか。僕には好きな人がいるからです。現に他の子も断ってますから」

「そんな固い事を言わないで付き合ってみてよ? 案外付き合ってみたら好きになるかもしれないでしょ?」


莉那先輩、押しが強いっすね? さすが、営業トップすね?

でも、これだけは俺も引くわけにはいかないもんね。


「絶対にイヤです。例え楠さんの頼みでも、それだけは聞けません」

「もう、川田君ったら頑固なんだから……」


莉那先輩は拗ねたように口を尖らせた。その顔がまたなんとも可愛らしい。思わずチュウしたくなるほどだ。したら怒られるだろうなあ。


「すみません」


と俺が頭をペコンと下げたら、


「わかった。じゃあ、いいわ」


と莉那先輩は言い、諦めてくれたと思って俺はホッとしたのだが……


「恋愛抜きでいいわ」

「…………はあ?」

< 19 / 191 >

この作品をシェア

pagetop