最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
「それだけは勘弁してください」
当たり前だが、俺はキッパリと断った。ところが……
「どうして?」
莉那先輩は引き下がってくれない。
「そんなの決まってるじゃないですか。僕には好きな人がいるからです。現に他の子も断ってますから」
「そんな固い事を言わないで付き合ってみてよ? 案外付き合ってみたら好きになるかもしれないでしょ?」
莉那先輩、押しが強いっすね? さすが、営業トップすね?
でも、これだけは俺も引くわけにはいかないもんね。
「絶対にイヤです。例え楠さんの頼みでも、それだけは聞けません」
「もう、川田君ったら頑固なんだから……」
莉那先輩は拗ねたように口を尖らせた。その顔がまたなんとも可愛らしい。思わずチュウしたくなるほどだ。したら怒られるだろうなあ。
「すみません」
と俺が頭をペコンと下げたら、
「わかった。じゃあ、いいわ」
と莉那先輩は言い、諦めてくれたと思って俺はホッとしたのだが……
「恋愛抜きでいいわ」
「…………はあ?」