最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
主任がすんなり聞き入れてくれるとは、はなから思っていなかったが、こうあっさりと却下されるとも思っていなかった。
「ど、どうしてですか?」
反射的に聞き返せば、
「動機が不純だからよ?」
の一言。もしかして、バレてる?
「な、何が不純なんですか? スキルアップを目指す事の、どこが……」
心の動揺を隠しつつ抗議してみるも、主任から冷ややかな目を向けられ、俺は情けなくも口籠ってしまった。
「あら、そう? だったら、医療をやってみる? 広告審査は格好のスキルアップになるんじゃない?」
ゲッ!
広告審査とは、その広告の内容が適性であるかを審査する事で、その広告を媒体に掲載する側、つまり俺達の義務になっている。
特に医療関係には細心の注意が必要で、薬事法と照らし合わせたりで大変だ。最終的には担当次長が責任を取るとは言え、実際は直接の担当者が完璧にこなさなければいけない。
医療を担当する先輩がよくこぼしていて、俺はその苦労を身近で感じていた。という事で……
「しゅ、主任、今の話はなかった事に……」
そう言わざるをえなかった。