最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
その翌日、俺は同期で悪友の田上を喫茶室に呼び出した。同じシステム部の五十嵐恭子さんの事を聞くためだ。
彼女の事なんかどうでもいい、と昨夜は思ったものの、やはりどんな女性か知らないよりは知った方がよいと思うし、莉那先輩と違う視点での彼女の評価を知りたかった。
「何だよ、急に呼び出したりして……」
「悪いな。実はおまえに聞きたい事があるんだ」
「ふーん。何?」
「ずばり聞くけど、五十嵐恭子さんってどんな人だ?」
「ん? 五十嵐恭子? 誰だよ、それ?」
俺は肩透かしを食らった気分だった。こいつからじゃ大した情報は得られないな……
「同じシステム部にいるはずだぞ。でもいいや。おまえから聞くのは諦めた」
「おいおい、システム部って言ったって、いったい何人いると思ってんだよ? でも思い出すから、ちょっと待ってくれ」
「ああ、わかった」
田上は上を向いて“五十嵐、五十嵐……”と呟いていたが、
「思い出したよ、五十嵐女史な?」
「おお、思い出してくれたか?」
「ああ、思い出した。彼女は社内システム担当の切れ者だよ」