最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜

腕時計を見たら、この店に来てからまだ1時間ぐらいしか経っていない。普通に考えればまだまだこれからって頃合いだ。

でもなあ……

恭子さんと話す話題はなく、それ以前に恭子さんは無口だから、どうやって時間をやり過ごしていいかわからない。このままじゃ気まずくてたまらない。

うん。ここは一つ恭子さんの意思を尊重して、帰るとすっか!

早く帰って録画したDVDでも観ようっと。


「じゃあ、今日のところはこの辺で帰りましょうか? 最初ですもんね?」


と愛想笑いを浮かべながら俺が言うと、恭子さんはなぜか一瞬遅れてからコクっと頷いた。


店を出る時、勘定の払いで少々揉めたが、最後は割り勘で方が付いた。恭子さんって、意外……でもないが、結構頑固なのだと俺は知った。

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