最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜

「恭子さんのお宅はどちらなんですか?」


駅へ向かって歩きながら、軽い気持ちで聞いてみた。ま、定番なやり取りだと思うし。


「同じ方向……」


ボソッて感じで恭子さんは答えた。


「同じって、僕と……って事ですか?」

「当たり前……」


うっ……。我慢だ、俺!

滅多に怒る事のない俺だが、今のにはちょっとムカついた。もちろん恭子さんの態度にだ。

でも、恭子さんの口が悪いのは莉那先輩から聞いてたわけで、それは承知の事。彼女はきっとそれが普通なんだ、と思えばいい。

俺はそう自分に言い聞かせた。


そうか。恭子さんと俺の家は方向が一緒なのか……って、あれ?


「恭子さん、どうして俺、じゃなかった僕の家を知ってるんですか?」


初対面なのに、なぜ?
俺は思わず立ち止まっちまうぐらい、ビックリした。

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