最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
ドアの鍵を開けようとして気付いた。
「おっと、鞄、鞄……」
俺は階段を駆け下り、鞄を掴むと一段飛ばしで駆け上がった。
「元気ね……」
そんな俺を見て、恭子さんは溜め息をつくようにそう言った。
「それだけが取り得なんで……」
とか言いながら、俺は鞄から鍵を出してドアを開いた。
パチンと部屋の明かりを点けると、恭子さんは目を瞬きながら中を見渡し、
「散らかってないじゃない」
と呟いた。
「そ、そうですか?」
実は俺、潔癖症ではないが綺麗好きな方で、客があろうがなかろうが、割と掃除をこまめにしているんだ。
「えっと、こっちにベッドがありますので……」
俺は二部屋の内の、寝室にしている洋間の方に恭子さんを案内した。
「速攻でシーツを替えますから、ちょっと待ってくださいね?」
俺はベッドのシーツを引っぺがし、収納から新しい水色のシーツを出した。それを広げて蒲団に敷いていたら、
「シャワーを使わせてもらえる?」
と恭子さんは言った。