最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜

スウェットに着替えて冷蔵庫を物色していたら、後ろから「どうもありがとう」と言う恭子さんの声が聞こえた。もうシャワーを終えたらしい。


「早かったですね?」


と言って、冷蔵庫の扉を閉めて振り向いた俺は、恭子さんを見て固まってしまった。だって、恭子さんは真っ白なバスタオルを体に巻いただけの、“あられもない”お姿だったから。


「わっ、すみません!」


俺はすぐにくるっと前に向き直ったが、恭子さんの残像が目に焼き付いてしまった。白いタオル、白い顔、白い肩、白い脚……。正に白、白、白の白尽くしだ。


あれ?
黒と紅はどこ行った?

黒は眼鏡の黒。紅は口紅だが、どちらもなかったような気がする。


「ねえ、あなたも浴びれば? シャワー」


恭子さんが、俺の耳の近くでそう言った。恭子さんの体から発する熱を背中で感じるし、触れてはいないが、恭子さんが俺の後ろの至近距離に立っているのは明らかだ。

なんか、胸がドキドキするんですけど……!

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