最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
シャワーの温度をかなり下げ、ほぼ水に近い冷たい水を俺は頭から掛けた。熱くなった頭を冷やすためだ。
恭子さんは俺を挑発しているのだろうか。それとも、安心して無防備になっているだけか。
うーん、後者だろうな。根拠はないが。
よし。それはつまり、恭子さんは俺の事を信頼してくれてるわけで、となれば俺はその信頼に応えねばならない。
そう自分に言い聞かせたのだが、
「おい、わかってんのか!?」
そう怒鳴ると、俺は勝手にその気になってる下半身のオレに、冷たい水をぶっ掛けてやった。
ひゃっ! 冷てえ〜!
シャワーを終え、タオルで頭をゴシゴシやりながらキッチンを覗いたが、そこに恭子さんはいなかった。和室の方の部屋にもいないから寝室にいるのかな?
寝室に行ったら、いた。けども、恭子さんは“あられもない”お姿のまま、ベッドに仰向けで横たわっていた。眼鏡は掛けてなく、目をつぶっているようだ。
唇には、例のごとく真っ赤な口紅が塗られている。たぶんさっきは落としていたから、また塗ったのだと思う。そんな必要はないと思うのだが。
テーブルの上に缶ビールが置いてあるから、それを飲んで眠くなったのだろう。いや、もしかするとまた具合が悪くなったのかも。
俺はそーっと恭子さんに近付いて行った。