最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
では、ということで、俺が背筋を伸ばしてTシャツをバッと脱ぐと、恭子さんは俺の胸の辺りをジーッと見てたかと思うと、ふっと顔を横に向けた。
え?
俺の体が貧弱に見えたのか?
自分では筋肉が程よく付いてると思ってるが、恭子さんには物足りない?
恭子さんって、マッチョがお好みなんだろうか……
ちょっとばかり気持ちが凹んだが、気を取り直して俺は恭子さんに覆い被さっていった。
鼻と鼻が触れ合うほど顔を近づけ、恭子さんの口にキスをしようとしたのだが……
「ちょっと待って。アレはあるわよね?」
「アレって?」
「だから、アレよ。避妊のための……」
「ああ、ゴムですね? もちろんありますよ。ちょっと待ってください」
ゴムは後で取って来ようと思ってたが、恭子さんは心配らしいので、俺はベッドから降りて隣の部屋に取りに行った。そして、それを初め一つ持ち、しかし思い直して二つ持って恭子さんの所へ戻った。
「ど、どうして二つも?」
「たぶん1回じゃ満足出来ないんで。俺、若いし」
「そ、そうなの?」
俺はニッと笑い、恭子さんも笑うか、あるいはおどけるか皮肉を言うかするだろうと俺は思った。例えば、『あら。ずいぶん自信家なのね?』みたいに。
ところが恭子さんは、不安そうな顔をして目を泳がせていた。意外な事に……